あぶらとり紙は1920年代に発売され、化粧をおとさず余分な皮脂を吸い取る優れた働きは、京都の土地柄から花街の女性や舞台・映画関係者の間で評判となりました。
その誕生のきっかけは、まさに映画の都、京都ならではのものでした。
撮影時に強いライトを浴びる役者の悩みは、ドーランを塗った肌に生じるあぶら浮き。
相談を受けた「よーじや」の初代は、試行錯誤する中で、花街のお出入り先の女性から聞いた「ふるや紙」に目をつけます。
この紙は、襖や屏風に使われる金箔の裏打ち紙で、古来より上流社会の女性や粋人の間で重宝されてきたもの。
初期のあぶらとり紙は、舞台の役者さんが幕間にサッとあぶら浮きを押さえるために、現在の約4倍ほどの大きさがありました。
これを手のひらサイズの手帳型に改良して1冊5銭で販売したところ、徐々に愛用者が増えていきます。
1990年代には「よーじや」の名とともに、あぶらとり紙は全国に知られるようになりました。
脂分をよく吸収することに着目した、京女の知恵から生まれたあぶらとり紙。
100年という時を超えて、今も愛され続けています。